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ゼロの焦点

最近、あらためて2009年版「ゼロの焦点」を観ました。
原作はいわずと知れた松本清張。一時期ハマりデビュー作からけっこうな量を読みました。映像作品は映画・・・というよりドラマが多く、これもけっこう観ました。原作「ゼロの焦点」は発表当時いろいろな意味で話題になったようで、作品の舞台になった金沢には観光客が増えたそうです。確かにこの映画を観ると「冬の金沢」に行って見たくなりました。が、原作を読んでいるはずなのに内容も本当にうろ覚えで(って毎度のことですが)映画観てこんな内容だったんだなあと。 

「点と線」とこの「ゼロの焦点」 恐らく松本清張の中でも特に有名で「代表作」だと思うのですが、私個人としては二作とも そんなにのめり込む事は出来ませんでした。理由はなんとなくわかるのです。松本清張をはじめ横溝正史など、戦後の混乱期を背景にする物語は多いですし私も好きです。特に推理物はトリックの関係もあるのでしょう、戦後間もない科学捜査もまだ不確かな時代を背景にしたほうが面白く出来ます。実際 京極夏彦の探偵「京極堂」も美津田信三の探偵「刀城言耶」も時代背景は戦後直後から間もない時代。多くの作家に影響を与えた島田 荘司の「斜め屋敷の犯罪」の探偵「御手洗潔」も最初の事件は226事件が起きた昭和の初期の事件を解決することでした。「犯罪捜査をする探偵」というキャラクターはこの時代背景がギリギリなのでしょうか。それにこの時代背景に即したトリック、推理が面白いのでしょう。そういう意味でも「ゼロの焦点」は「まさに」な作品です。それなのにあまりハマれませんでした。それはとりもなおさずこれが松本清張の「社会派推理もの」の傑作だからだろうと思います。推理物が昭和初期?を舞台とするのは捜査に穴があってもおかしくない時代だからだと思います。ですから面白いトリックも使いやすい気がします。これを極端に例えると現代が舞台だと血痕ひとつからDNA検査されて犯人がわかってしまうのに、昭和初期なら血液分類がABO式でしかわからない、とか遺体の保存ができなくて短時間しか検死が行われていないとか、いわゆる「穴」が作りやすい部分があると思うのです。前述した島田 荘司のデビュー作 名作「占星術殺人事件」 これは226事件の雪の朝に起こった殺人でした。ちょっと大雑把になってしまいますが、誤解を恐れず言うとトリックや犯人像にこの226事件という時代背景は絡んできません(運転免許がなかったとか特高警察とか当時の設定を利用してはいますけど)しかし、昭和初期の時代、科学捜査もまだまだ未熟な時代だからこそ・・・というトリックが存在しています。つまりこの場合はトリックに利用するための「時代」という感じがあるように思います。(特に御手洗潔は現代の探偵ですしね)
松本清張の場合、その時代背景自体が事件の発端になりトリックだけでは語れない?という場合があります。「当時の社会情勢でなければ起こりえなかった事件」というより「その時代でしか語れない事件」というべきでしょうか。つまり社会背景が事件の発端に大きくかかわり、以後の問題も時代背景が大きく絡んでいるということでしょうか。これが「社会派」たるゆえんなのでしょう。ちなみに前述した島田 荘司は「本格推理」というジャンル?になるのでしょうか。この辺りは詳しくなく、間違っていたらすみません(汗
それゆえにその当時を生きた人間でないとなかなか判らないという場合もあります。この「ゼロの焦点」もそうです。まず当時はお見合いが基本だった(昔は親の承諾の有無が重要でした。戦後ですので正確にはもう自由恋愛の時代でしたけど)、お見合いでは相手のすべてがわからない場合もあったがそれでも結婚してしまう(させられる)ことがあった、など現代からはわかりにくいことが重要なキーになっています。この犯行が語っていることそれは「戦後の悲哀」なのでしょう。これが戦争を知らない飽食の時代を生きる自分にはよく理解できないのだと思うのです。だから大好きな松本清張、しかも代表作なのにいまいちのめり込めなかった。。。原作を読んだときもあまりピンとこず、ですので大まかな筋は覚えていますが、細かい設定や演出を思い出せないでいました。

ーーーここからネタばらしがあります。未読、未観の方で内容を知りたくない方は以後は読まないで下さいーーー

あらすじ
知人を介し10歳年上の広告代理店勤務、鵜原憲一とお見合いし結婚することになった禎子。新婚早々、憲一は禎子をおいて金沢に出張することになった。「一週間で帰るよ」しかしその後一通の手紙が来て以来、憲一は音信不通になる。不安になった禎子は憲一の兄に相談に行くが、兄はあまり心配しているようでは無かった。「あいつにはそういう所があるから」と笑う義兄を見て、禎子は改めて夫となった憲一の過去をまったく知らない自分に気付く。憲一をよく知らないという不安も手伝って禎子は自ら 憲一を探すために金沢へ向かう。金沢で憲一は室田耐火煉瓦の社長、とりわけその後妻 室田佐知子に気に入られていたという事実を知る。禎子は社長とその婦人佐知子に会うために室田耐火煉瓦に向かうと、その受付嬢の一人が偶然、米国人の客を応対する場面に出会う。その受付嬢の使う英語を聞いた禎子は彼女が元パンパンではないかと気付く・・・

映画では金沢に日本初の女性市長が生まれるかどうかという選挙が行われており、室田煉瓦の社長夫人、そして地元の才媛として佐知子は女性候補の後見人?を勤めているのですが、原作でもこの設定があったかどうか記憶があやふやです。原作では「貞淑な妻」だけだったような気がします。名前は出さない、写真はとらせないことを条件として女性候補の後見人的活動をしているというのは映画での設定なのだと思います。(このあたりはうろ覚えなので間違っていたらすみません)
この映画の昭和の雰囲気はいいですね~。戦後10年。高度成長のごく初期の雰囲気がよく感じられると思いました。それと灰色の日本海と雪の金沢。いいですな~陰鬱とした日本海は。この金沢では有力者の妻であり知的で有能な才媛と見られている室田佐知子が実は戦後間もない頃、米兵相手の売春婦(パンパン)をやっておりその過去を隠すために、事実を知る人間(知った人間)を殺していくわけです。最後には隠し切れず自ら死を選ぶのですが、この美しい情景(灰色の空、海ですけど)とともにどんなに正しくなろうとも、過去の行為によって抹殺されてしまうという残酷な事実も明らかにされるわけです。この映画をみて、やっぱり日本は特にやりなおしが聞きにくい社会なのかなあと思いました。どんなに貞淑に才媛として生きようとしても過去の事実は消せず、結局それに囚われてしまう。それは個人も社会も。
「無力感」・・・主人公のほとんど失敗するという松本清張の作品にはこのイメージが含まれているように感じます。強く生きよう、人生に抵抗しようと生きても結局、最後には落ちていく主人公。デビュー作の短編「西郷札」(「ある小倉日記伝」)から「黒の奔流」「寒流」「一年待って」「駅路」「疑惑」「天城越え」「霧の旗」「砂の器」「鬼畜」「影の車」「石の骨」・・・など思いつく作品を書いて見ましたが、みんな主人公は最後に破滅の道、あるいは失敗する道を歩いています。正しいものが通るとは限らない。しかも大抵「悪女」は生き残るんですよね。なので私は心が疲れている時に松本清張は読めません。。。でもそんな残酷な真実?を描く松本清張作品にたまらない魅力を感じるんですよねえ・・・いわゆるフォースの暗黒面、負のオーラでしょうか。
ちなみに映画「ゼロの焦点」での禎子役は広末涼子。昭和の若妻の雰囲気が本当にいい感じです。広末涼子は一時期芸能ニュースなどを騒がせましたがあまり興味がありませんでした。でもこの作品の「若妻」役は個人的にお気に入りです(笑)
ちなみにーpart2です。2時間ドラマの定番、崖(断崖絶壁)の上の犯人・・・というイメージは、この「ゼロの焦点」がオリジナルだそうで。でも映画では「崖の上で自白する犯人」は出てきませんでしたけど。
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以上あくまで個人的な感想にすぎません。間違っていたらごめんなさい。



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